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eスポーツとしても人気の高いEpic GamesのバトルロイヤルTPSゲーム、『フォートナイト』の公式大会「フォートナイト・ワールド・カップ」が開催されています。
しかし残念なことに、不正結託行為があったとのことで一部のプレイヤーが処分を受ける事態となってしまいました。eスポーツで大きな問題となっている不正行為ですが、今回については処分が甘いという声が高いようです。
一方で運営側も競技プレイからの永久追放などといった厳重な処分をするには、それだけの証拠が必要となります。
巧妙化する不正行為を明らかにするのは簡単ではありません。
スポーツならば発生しうる不正結問題、再発を防ぐために企業も様々な努力を続けていますが、高額賞金の発生する公式大会を運営するが故の悩みともいえます。
高額賞金の大会で
『フォートナイト』は無料で参加できるバトルロイヤルモード、この種のゲームとしては珍しい、集めた素材で壁や拠点を作って戦えるクラフト要素などが好評を博して人気となりました。
サービス開始から一年未満でプレイヤーが1億を超えるなど、爆発的な広がりを見せたタイトルです。現在もその人気に衰えはなく、eスポーツタイトルとしても人気は上位で、今年第1回「フォートナイト・ワールド・カップ」が開催されました。
4月13日 からスタートして週替わりでソロとデュオのマッチが10週にわたって、誰でも参加できるオンライントーナメントで行われます。
賞金総額は4000万ドル、日本円にして約40億円という超高額。アメリカ・ニューヨークで行われる7月26日、27日、28日のオフライン決勝の出場権をかけた戦いは、いやが上にも盛り上がっていました。
しかしこの大会のウィーク3、ソロのオープン大会で、上位プレイヤーである“XXiF”ことDamion Cook氏が何らかの不正結託に関わったというのです。
映像ではDamion Cook氏の周りに不自然に無防備なプレイヤーが近づき、キルされているとのこと。いわば八百長のように見えるということです。
氏は潔白を主張していたのですが、Epic Gamesの社内調査が行われ、公式に不正結託行為があったという認定が下りました。
これにより氏を含む関係者たちは14日間の大会出場禁止、またウィーク3での獲得商品を没収されるそうです。それだけでなく、Cook氏らニューヨークでの決勝出場資格を満たすプレイヤーは、出場資格も剥奪されます。
Cook氏の出場資格剥奪に伴い、決勝には北米・欧州地域のウィーク3決勝リーダーボードで次にランクの高いプレイヤーが繰り上げされることになりました。
eスポーツの不正行為
実は不正行為が認定されたのはこれが初めてではなく、ウィーク1でもたくさんの不正行為が発見され、Epic Gamesは対応としてアクセス禁止処分などを発表していました。
当然ながら不正行為が検出されれば、不正を行ったアカウントは賞金獲得権を失います。それだけでなく、不正の程度に応じて長短はあれアクセス禁止処分も受けます。
別なアカウントや新しいアカウントを作ってアクセス禁止を不正に免れようという行為が判明すれば、競技プレイからの永久追放ともなるとのこと。
既に250にも迫るアカウントが賞金を得られなくなる事態となりました。
eスポーツで名をあげようとするプレイヤーならば、致命的な汚点となるでしょう。
主な不正行為としては「他の競技者にポイントを渡さないように意図的に回線を切断する」、「リージョンロックを不正に回避して複数の地域で参加する」、「チーミング」、「チート」などがあります。
「チーミング」はバトルロイヤルのソロでの参加モードで、他プレイヤーと一緒に行動し戦うことを指します。これではソロでもなんでもない、結託行為ですよね。誰かと組んで戦いたいなら、ソロではなくデュオなどで行うべきです。
「チート」はいい意味では「強いプレイヤー」を意味しますが、悪い意味では不正な手段を使うことを指し、狭義では不正なソフトウェアでプログラムの改造を行いゲームを有利に運ぶことを意味します。
どの行為も同じゲームを行うプレイヤーには大変迷惑なことで、eスポーツとして賞金があろうがあるまいが、競技において不正はすべきではありません。
ちなみに「フォートナイト・ワールド・カップ」において、Epic Gamesはリアルタイムで「チーミング」を検知するシステムを導入していることを告知しています。
それを承知で行ったのであれば、処分も当然というものです。
企業の努力と効果
この手の不正行為は、残念ながらバトルロイヤルゲームで最近問題になっています。
今年の2月から配信開始となった『Apex Legends』というバトルロイヤルゲームがありますが、そちらでも「チート」の問題について報告があったばかりです。
不正なツールを使っているプレイヤーを「垢BAN」、つまりアカウントを停止させているとのこと。その累計が77万件を超えたそうです。
『Apex Legends』の開発元であるRespawn Entertainmentは今後も「チート」に対しては多くのリソースを割いて、戦いを続けていくとしています。
バトルロイヤルゲームの先がけである『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS(『PUBG』)』でも「チート」は大きな問題となっていて、昨年10月の時点で累計1300万人以上ものプレイヤーがアカウント停止処分を受けているのだそう。
プレイヤー数が4億人を超えるゲームならではの規模と言わざるを得ません。
この「チート」を自動的に発見する「Easy-Anti-Cheat」というアンチチートツールは、オンライン・マルチプレイができる80以上のゲームタイトルに採用されています。
『フォートナイト』も例外ではなく、Epic Gamesは昨年10月に「Easy-Anti-Cheat」を販売しているソフトウェア販売会社Kamuを買収しました。
Kamuはアンチチートソフトだけでなく、データ分析やゲーム運営サポートの分野にも力を入れたソフト開発を行っています。
Epic GamesのCEOであるTim Sweeney氏は、「Kamuが提供するゲーム運営用ツールは、ローンチ後の成長・維持を実現するうえで助けとなる」とも語っていて、高い信頼を寄せていることがわかりますね。
eスポーツに限らず、勝敗のつく競技において不正行為はついて回ってきました。
しかしeスポーツではフィジカルなスポーツと違って、不正行為が発覚しにくい現状があります。
最近では『フォートナイト』の無料のチートツールと称してマルウェア、つまりコンピュータウイルスやワームをダウンロードさせる手口も出回っているそうです。
不正をしようとしてウイルス感染させられるなど、因果応報といえばそうですが、ゲームならではの被害ではないでしょうか。
不正行為への対処
今回の「フォートナイト・ワールド・カップ」運営側の対応については、処分が軽すぎるという意見もあるようです。
偶然である可能性が低いと判断されたからこそ処分が行われたのでしょうが、「チート」などとは違って、不正結託行為の証拠は押さえにくいという点があります。意図的に行われた行為かどうかを判断するのは、それだけ困難なものなのです。
『フォートナイト』のトーナメントでは、ゲームのリプレイを見ることができます。
Epic Gamesのフォートナイトチームが、トーナメントの結果の正しさを確認するために使用しているサーバーのリプレイだそうで、各トーナメントの終了後に全てのプレイヤーのプレイ内容がチェックされているわけです。
優れたプレイヤーのリプレイは勉強になることが多いので、観戦するプレイヤーも多いもの。人の目に触れればそれだけ、異常に気付く人も増えることになります。
リプレイを見て違和感を覚えたプレイヤーからの通報も、不正発見の手段となっているのが現状です。
あからさまな「チート」は運営側で察知できるでしょう。
しかしゲームの不具合を悪用した不正や、プレイヤーによる嫌がらせ行為などは、プレイヤーからの通報がなければ発覚しないこともあります。「通報」と言うと積極的にしたがらないプレイヤーも多いのですが、いやな思いをしたことをそのままにすると、不正行為が横行することになります。
それはeスポーツの未来を考えれば、放置していいことではありません。
今はプレイヤーの通報をもとに、人の目と手で判断が下されていますが、将来的にはもっと広範囲に検知する手段を模索しているそうです。
長期運営を想定したオンライン・マルチプレイタイトルであればこそ、再発を防ぐための努力は続けられています。
残念なことが起こってしまったのは事実です。でもだからこそ、今回の事案も今後の糧として活かされることが望まれますね。
誰もが楽しく面白く
「フォートナイト・ワールド・カップ」は始まったばかりです。6月16日までソロとデュオのトーナメントが週替わりで行われます。
決勝戦に進出しただけで5万ドル、約550万円もの賞金が支給され、優勝すれば3000万ドル、約33億円もの賞金が得られる破格の報酬が約束された公式大会です。
ですがそれ以上に、参加者や観戦者の全員が楽しめてこそのイベントでもあります。ルールを守り、良識をもってプレイして欲しいものです。
eスポーツのいいところは、フィジカルスポーツはもちろん、現実には実現不可能な競技であっても誰もが楽しめる点にあります。
自分にはまだできないプレイを観戦するという楽しみもあります。
今週末には「ワールド・カップ」ソロのトーナメント、ウィーク5が予定されています。
シーズン9のティザーも公開され、明日の開始を待つばかりの『フォートナイト』、興味のある方は是非触れてみて下さい。
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